WordPress の日本語ファイル名、結局どうする? SEO と UX の本質から導く

最適な画像ファイル名は三択

新しく撮った渾身の一枚——

桜と五重塔.jpg

この完璧な名前のファイルを WordPress にアップロードする瞬間、
「日本語ファイル名のままアップロードして、本当に大丈夫だろうか?」
この疑問は多くの日本人 WordPress ユーザーが一度は通る道でしょう。

そして、この問題をより複雑にしているのが、広く利用されているプラグイン
WP Multibyte Patch の存在です。このプラグインは日本語環境での多くの問題を解決してくれますが、ファイル名の扱いに関しては、現代のウェブ環境と相容れない一面を持っています。古いサーバーとの互換性を維持するために、デフォルトで日本語のファイル名を意味のないハッシュ値(ランダムな英数字)に変換してしまいます。

これは、数ある選択肢の中でもユーザーの利便性を損なう、もっとも望ましくない挙動です。

この記事では、「これが正解だ」という答えの提示ではなく、様々な角度から各選択肢を徹底比較し、あなたのサイトにとっての最適解をあなた自身が判断するための材料を提供します。


3 つの選択肢:それぞれのファイル名戦略

まず、ファイル名の付け方には大きく分けて 3 つの戦略があります。

  • 日本語ファイル名(例:桜と五重塔.jpg)— 見たまま、分かりやすさを最優先する戦略。
  • ローマ字ファイル名(例:sakura-to-gojunoto.jpg)— 意味を保ちつつ、技術的な互換性を重視するバランス戦略。
  • ハッシュ値・無意味なファイル名(例: a3b8...jpg / DSC0123.jpg)— 互換性のみを追求し、他の全てを犠牲にする戦略。※WP Multibyte Patch のデフォルト動作。

なお、この考え方は日本語 URLにも共通します。 URL 内に日本語を含めると見た目上は分かりやすい一方、エンコードによる長文化・共有時の崩れ・アクセシビリティの低下など、同様の問題が発生します。

SEO 視点

Google はファイル名や URL から内容を読み取ります。現在の Google は UTF-8 に完全対応しており、日本語も正しく認識しますが、用途によって最適解は変わります。

  • 日本語名桜と五重塔.jpg のように強力なキーワードを直接含んでおり、国内 SEO では最も効果が高い。
  • ローマ字名sakura-to-gojunoto.jpg も検索エンジンは文脈から理解できますが、日本語名ほどの即効性はやや劣る可能性があります。
  • ハッシュ値:意味を持たないため、 SEO 上のメリットは皆無です。

ユーザー体験(UX)

サイト管理

  • 日本語名:ファイル名だけで内容が瞬時に分かり、管理は非常に楽です。
  • ローマ字名:意味は分かりますが、日本語ほどの直感的な速読性はありません。
  • ハッシュ値:ファイル名から内容を推測できず、サムネイル頼りの非効率な管理になります。

URL 共有

メールや SNS などで URL を共有する際の見た目の分かりやすさと、リンク切れリスクの両面から評価します。

  • 日本語名.../%E6%A1%9C%E3%81%A8... のようにパーセントエンコードされ、醜く長くなります。コピペミスや文字数制限によるリンク切れリスクが最も高いです。
  • ローマ字名.../sakura-to-gojunoto.jpg のように美しく、どんな環境でも安全に共有できます。
  • ハッシュ値:安全ではありますが、意味不明な URL はユーザーに不信感を与える可能性があります。

なお、これは日本語 URLにも共通します。 SNS やメールで共有する用途が多いサイトでは、 URL 中の日本語も避けた方が安全です。

閲覧者の利用しやすさ(アクセシビリティ)

  • 前提:日本語ファイル名は URL 上で自動的にパーセントエンコードされます(例 %E6%A1%9C...)。
  • 読み上げ挙動:スクリーンリーダーはリンクや URL をそのまま音声化するため、日本語ファイル名は「パーセント イー ロク エー…」のような記号列として読み上げられ、意味が伝わりません。
  • alt 属性の有無alt が適切なら代替テキストを読み上げるため問題は緩和できますが、alt が空・欠落の場合はファイル名(=エンコード列)を読んでしまい致命的。
  • ローマ字名の優位sakura-to-gojunoto.jpg であれば「サクラ ト ゴジュウノトウ ドット ジェイペグ」と意味のある音声になり、聴覚的 UX が明確に向上します。

アクセシビリティ観点では日本語ファイル名はマイナスalt を必ず入れるか、ローマ字ファイル名を採用するのが推奨です。

サーバー互換性

どんなサーバー環境でも安全に動作するかという安定性です。

  • 日本語名:現在の多くのサーバーでは問題ありませんが、古いシステムや一部の特殊設定ではトラブルを起こす可能性があります。
  • ローマ字名:半角英数字とハイフンは、世界中のほぼすべてのサーバーで安全に扱えます。
  • ハッシュ値:同様に高い互換性を持ちます。

比較まとめ表

評価項目 日本語名 ローマ字名 ハッシュ値
国内 SEO
サイト管理
URL 共有
アクセシビリティ
サーバー互換性

結論

  • あなたのサイトが「 URL を共有しない」「国内向けのフォトブログ」などであれば、日本語ファイル名は十分に実用的です。
  • 一方、ビジネスサイトや情報発信メディアでは、信頼性・共有性・アクセシビリティを重視してローマ字名を採用すべきです。
  • Amazon.co.jp のように、意味のある部分だけ日本語化し、技術的な部分は英数字で安定化するハイブリッド設計も有効です。

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最も重要なのは、プラグインの仕様に振り回されるのではなく、自分の意思でファイル名(および URL)の戦略を選択することです。

そして、 ALT 属性は必ず適切に設定することがマストです。

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