WordPress サイト運営者必読–ビジネスを守るためのメール到達率と SMTP 化

メールは「届かなければ」意味がない
WooCommerce の注文確認メール、会員登録やパスワード再発行通知、 Contact Form 7 などのお問い合わせフォームからの自動返信。
これらは WordPress が自動で送信するビジネスに直結するメールです。
顧客に届かなければ売上や信頼を失い、管理者に届かなければ運営の遅れやトラブル悪化を招きます。
実際、「送ったはずのメールが届かない」という問題は珍しくありません。
メールが届かない原因
WordPress 標準のメール送信は内部のPHP mail()
関数に依存しています。
これはサーバーに「この内容を送って」と渡すだけの仕組みで外部メールサーバー(独自ドメインやGmail)に直接接続できません。
その結果、信頼できるメールと認識されにくくなります。
- Gmail や独自ドメインの正規ルートを使えない
- サーバーの送信制限や IP レピュテーション(メールの信頼度を決める指標)低下で迷惑メール判定されやすい
- SPF/DKIM/DMARCの整合性が取れず到達率が下がる
管理者宛の未達も深刻
到達率の問題は顧客向けだけではありません。
管理者宛の通知が届かないと、運営に大きな損害が出ます。
- 新規注文や在庫切れ通知を見逃す
- 問い合わせや予約リクエストへの対応が遅れる
- セキュリティ警告や更新通知に気づけない
メール送信の実際
レンタルサーバーの場合
多くのレンタルサーバーはセキュリティに力を入れており、多くのサービスでは、独自ドメインメールで SPF/DKIM/DMARC を設定できます。
さらに、PHP mail()
で送信されたメールもサーバー内部で自社の SMTP サーバー経由に変換して送信する仕組みを採用していることが多いです。
- SPF/DKIM/DMARC が自動的に付与される
- 送信元 IP のレピュテーションが維持されやすい
- Google や Yahoo など、主要メールサービスからの信頼度が高まる
懸念点
レンタルサーバーでは届きやすい傾向がありますが、送信経路はサーバーのメール環境に依存します。そのため、共有サーバーの場合は他ユーザーのスパム行為でレピュテーションが下がり、突然届きにくくなるリスクがあります。さらに、 SMTP 設定を自由に変更できないサーバーでは外部 SMTP サービス(Gmail や SendGrid など)が使えない場合があります。
こうした仕組みのため、レンタルサーバーの独自ドメインメールは比較的届きやすい傾向があります。ただし絶対ではありません。
まずはこれらの認証レコードを DNS に正しく設定し、届かない場合は外部 SMTP サービスや Gmail(Google Workspace)利用を検討します。
VPS ・専用サーバーの場合
初期状態ではメール送信環境や SPF/DKIM/DMARC などの認証設定が一切されていないことが多く、 IP レピュテーションもゼロに近い状態です。
そのため、正規ルートからの送信ができず、ほぼ確実に迷惑メール扱いされます。
メールを直接送る場合は DNS 設定だけでなく、通常のウェブサーバー構築以外にも、メール関連で大きな手間と継続的な管理が必要になります。
- メールサーバーソフトの導入(Postfix や Exim など)
- SPF/DKIM/DMARC の設定
- TLS 証明書の設定
- 送信ログの監視
これらの負担を避け、安定した到達率を確保するためにも、外部 SMTP 経由+SMTP プラグインの利用が現実的です。
SMTP プラグインは必須である
WordPress は標準で SMTP 送信機能を持たず、PHP mail()
では認証付き送信ができません。
整備された独自ドメインメールでも Gmail でも、 WordPress から確実に送るには、SMTP プラグインの導入が必要です。
- 外部メールサーバーに安全に接続
- SPF/DKIM/DMARC と整合性の取れた正規経路送信
- 到達率と迷惑メール回避率の大幅向上
まとめ
- SPF/DKIM/DMARC を設定
- 届かない場合は Gmail や外部 SMTP サービス導入
- SMTP プラグインで必ず送信経路を正規化
なお、大量にメールを送る場合、 SMTP 導入だけでは限界があります。たとえば Gmail は 1 日あたり約 500 通(Google Workspace でも約 2,000 通)までしか送れず、レンタルサーバーも「 1 時間 100 通まで」などの制限があります。短時間でまとめて送ると受信側で拒否されることもあります。このため、数百〜数千通を送る必要があるときは、 SendGrid や Amazon SES などの大量配信向けサービスを検討する必要があるでしょう。
「送った」ではなく「届く」環境を作ることが、ビジネスを守る最もシンプルで重要な要素です。